西部島根医療福祉センター編

こんにちは、園長です。

クリスマスも終わって、あとは蕎麦を食べるだけとなりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

年の瀬にもかかわらず、相手方のご迷惑を承知の上で施設見学にお邪魔しました。その様子をご報告したいと思います。

 

ですがその前に

なぜ今回、西部島根医療福祉センター様へ見学のお願いをしたのか、その理由について少しお話させてください。

この話をすると、ますます介護の仕事の評判が下がるかもしれませんが・・・

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皆さまは、「特別養護老人ホームあずみの里・業務上過失致死事件裁判」をご存知でしょうか。

今から4年以上前、長野県内にある特別養護老人ホームで、高齢の女性入所者が食堂でおやつのドーナツを食べた直後に意識を失い、 搬送先の病院で1カ月後に亡くなるという痛ましい出来事がありました。

この時、女性入所者の近くにいた准看護師が、業務上必要な注意を怠ったとして刑事責任を問われたのです。そこから長い長い裁判に突入し、今もなお争われています。

 

配置基準を満たした人員体制でありながらも、決して十分とはいえない介護現場の実態。

常に死と隣り合わせの要介護者に対して、どこまで安全を優先すべきなのか、私自身もジレンマを覚える出来事は少なからず経験してきました。どれもこれも、苦い苦い記憶です。

絶対に転倒させない、絶対に喉に詰まらせない・・・そんな事ばかり優先していたら、人間らしさを失わせるケアになってしまう。しかし、人間らしさを優先した結果、利用者の方の命を危険にさらしていいはずもない。

事故が起これば、その介護職員は大きなトラウマを負ってしまう可能性がある。周りの職員だって、「明日は我が身」と思えばどんどん萎縮してしまう。

 

理想や情熱だけではダメなんだ、もっとエビデンス(根拠)に基づいたケアを追及していかないと、職員は自信を持って介護ができなくなってしまう・・・そのように常々感じていたのです。

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施設内で摂食嚥下機能に関する学習会を開いたとき、講師の先生からご紹介いただいたのが西部医療福祉センター様でした。

障がい児・者を専門とした総合医療福祉施設ですが、数多くの専門職を配置し、食形態の研究にも熱心に取り組んでおられます。

年老いた方たちの「食べる」に対して、私たちはどこまで努力することができるのか、それを確かめるために施設見学をお願いすることにしました。

 

長くなりましたので次回に続きます。